【相続人の範囲 死後認知のこと】 

夫が急逝しました。遺言はありません。

子供たちと相続の話合いをしようと考えていたところに、弁護士さんから連絡があり、夫に隠し子がいたようで、現在、認知の手続きをしているところだと言います。

そうすると、子供たちと遺産分けの話を進めることはできないのでしょうか?

 

認知が認められると、親子関係が形成((非嫡出子となります)されますので、相続人の数が増えるということになります。

相続人が漏れていると、分割協議は無効となります。

 

しかし、本件のような弁護士からの連絡等が入らない場合、まだ認知の訴えが提起されていない場合など、親子関係が戸籍に記載されてない段階では、戸籍に記載のない相続人の存在など知りようがありません。

そうすると、遺産分けまで進んでいきますよね。

このような場合は、実際の分割や遺産の処分が終了した後、相続分相当価額での請求を受けることもあります(民法第910条)。

死後認知は相続することを目的の一つにしていますので、だいたい上記のような請求があるのでしょう。

 

ちなみに、死後認知は、検察官を被告とし、子の法定代理人である母親が原告となって認知の訴えを起こします。

DNA鑑定書の提出や証人尋問等の手続きを経て、親子関係が認められると、判決書を持って役所に行き、親子関係を戸籍に反映させることができます。

非嫡出子の相続分については民法の改正がありましたね。

以上

 

 

 

【相続関連訴訟のこと】 

 

祖父の相続に関し、相続人間の話し合いでは、種々の点で言い分が対立し、調停を申し立てました。

調停でも、お互い譲らずの状態が続いたところ、調停員から、「地裁の方で解決してから家裁に来てください。」と、調停申立てを取り下げるように促されました。

どういう意味なのでしょうか?

 

遺産分割調停では、以下の5つの場面に分けて話が進められます。

≪相続人の範囲→遺産の範囲→遺産の評価→具体的相続分の確定→分割方法≫

この場面の中で、家裁の調停では最終的に解決できない事柄があります。

 

①相続人の範囲について、例えば、養子縁組の効力に関し争いがあれば、養子縁組無効確認の訴訟、婚姻の無効や離婚の無効を争うときも、確認訴訟(人事訴訟といって家裁の管轄ですが、調停でいう家裁とは異なります。)で解決します。

また調停の前に、死後認知の訴え等をして、親子関係を形成する場合もあります。

 

②遺産の範囲について、預貯金の存否、預貯金や現金の金額、不動産が誰の帰属かなどに関し争いがある場合には、遺産確認訴訟を地裁に提起して解決します。

例えば、名義預金であった場合、不動産につき一部の相続人が自分の所有権を主張する場合などです。

 

③よく相談を受けるのは、『もっと、遺産があったはずだ、預金が使い込まれている、隠しているのではないか。』というものです。

隠したままで自白してくれないとなると、不当利得返還請求あるいは損害賠償請求の訴訟を提起しての解決になります。

なお、判決で、不当利得ではなく生前贈与が認定された場合、調停に戻って、「特別受益」として扱われます。(持ち戻し免除という他の点が問題になり得ますが)

 

④また、相続分に関連して、遺言の有効性について調停で合意できない場合、遺言無効確認訴訟を提起するなどです。

話し合いがこじれると、調停手続き一本では解決しないこともありますね。

以上

 

【遺産分割調停が不成立のときは審判へ】 

祖母が亡くなりました。祖母は、叔父と長年同居していました。

相続人は、叔父と孫の私です。

祖母名義の建物の敷地部分は、私の父所有で、祖母に無償で貸していたものです。私としては、叔父に退去してもらいたいのですが、合意に至らず、家裁の調停でも話がまとまりません。

このように調停でも成立しない場合には、どうなるのでしょうか?

 

調停が成立しない場合でも、裁判所の手続きは終了とならず、自動的に審判手続きが開始されます。調停の申立てという行為に、審判の申立て行為が含まれていると扱われるためです。

話がまとまらないから、解決を裁判所にお願したわけですからね。

 

審判では、調停の中でこれまで提出された資料や審判に移行してから提出された資料を下に、裁判官(家事審判官)が結論を出します。どの遺産を誰にどのように分けるかの判断です。

この審判に対して不服があれば、即時抗告もできます。

もっとも、審判に移行してからも裁判官は、話し合いができないか道を探ります。

そして、再度、調停に付されることも多いです。

なお、この時の裁判官は、資料を見た上で、「審判になったら、結論はこうなるのではないか。」などと心証を開示しながら、話し合いを促していきます。

最初の調停での話し合いとはちょっと違いますね。

以上