【遺産分割協議においての不動産の評価】

祖父が亡くなり、遺産分割の話のないまま時間が経過しました。当初の相続人が亡くなり、相続人は、我々孫の世代に移っています。

祖父の残したいくつかの不動産について、孫ら相続人は、「ここは自分が取得したい、あの土地は売りたい。」「いや、全部売却した方がいい。」など、それぞれの意見が対立しています。

売却で合意できるのであれば、できる限り高値で売りたいという利害は全員一致するのですが、一人が不動産を取得し、他の相続人の持分は金銭(代償金)で支払うという場合、その間の利害が対立しますので、価額に関してなかなか合意できません。

そこで、不動産の評価について、その価額をどう決めたらいいのかを知りたいです。

不動産の評価方法として、

よく検討されているのは以下のものです。

①固定資産税評価額、②路線価(相続税評価額)、③不動産業者による査定、④公示価格

 

このうち③は、不動産業者が行いますが、一方当事者寄りのものとなる傾向もありますので、調停の場面では、複数業者の査定をとり、価額の上下をカットして、残りの平均値を出したりします。

④は地価公示法に基づき土地鑑定委員会が示すもので、土地の価値の三要素となる市場性(取引事例比較法)、収益性(収益還元法)、費用性(原価法)の3方式を総合して算定されるようです。一般の土地取引の指標を提供したり、①や②の基準とされます。

 

建物価格の場合は、①が利用されることが多いですが、土地の場合、②は、③よりも低額の評価額となるのが一般です。

そこで②の場合には、その額を0.8で割り戻した形で土地の価額を算定することがあります。

このような算定方法による評価を検討しながら、当事者が合意を形成していきます。

当事者全員の合意ができれば、調停の場面では、中間合意として調停調書に記載されます。遺産の評価が、具体的な分割方法の前提となりますので、後で翻意されると困ります。

 

合意できない場合には、調停では、不動産鑑定という方法があります。

鑑定費用は相続分に応じた負担となり、見積りが出た後、その費用を裁判所に予納する必要があります。

もちろん、当事者は鑑定結果を尊重することが前提です。翻意されると困りますので、ここも中間合意調書が作成されます。

ただし、不動産鑑定費用はかなり高額になります。

ここが合意形成の契機の一つにもなり得ます。住居の場合で数十万円、大きな物件の場合には、百万単位の場合もあるからです。

こんなに費用を負担するなら、お互い譲歩しようかなと。

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