【遺言無効確認について】

父が亡くなりました。相続人は、長女と長男の私です。

四十九日法要も済み、父の遺産をどう分割するか、協議したいと考えていたところ、裁判所から、遺言書検認手続の期日呼出し状が届きました。

父が遺言書を作っていたとは?!驚きました。

その上、父と同居していた長女が、長い期間、遺言書を保管していたというのです。

しかし、父は長く認知症を患い、施設に入所していました。

遺言書を自分で作ることはできなかったはずです。

私は、父とは離れた場所に住んでいますが、時々、父を見舞っていましたから、父の状態はよくわかります。。

私はどのような手続きをしたらよいですか?また何を準備すればよいですか?

 

遺言の無効を争う場合、「調停前置」といって、訴訟の前に調停をする必要があります。

例えば、保管者から遺言書作成の経緯や動機、作成当時の遺言者の生活状況等の事情を聴くことができ、それに納得がいけば、調停の段階で、遺言は無効ではないとの結論に至りますが、そうではなく調停不成立となれば、地裁へ、遺言無効確認の訴えを申立てることになります。

本件の遺言書は自筆証書遺言ですね。

無効の争い方として、まず、遺言書の筆跡は、遺言者のものとは違う、自筆性がないと主張する場合、作成時前後の遺言者の筆跡のわかるもの、例えば、ハガキや手紙の類、住所や名前の部分、あるいは遺言者に特徴的な文字等、対照できるものを準備すること。

また本件では、遺言者は認知症であったということですが、作成当時、遺言者には遺言能力がなかったという主張をする場合は、

①医師の診断書やカルテ、

②認知機能の検査(長谷川式簡易スケールやMMSE)の点数、

③看護や介護記録、あるいは介護認定の調査の記録(認定調査票)、1年ないし2年ごとに認定調査がありますが、保存期限もあり、遺言作成時に近接した時点の資料の入手が難しいケースもあり得ます。そのような場合には、

④作成日後の資料であっても、認知症の種類、病気の一般的な経過から遡って、作成時点ではどのような状態であったかと推測できる場合もあります。

また、⑤接していた方たちの証言、施設での遺言者の生活の様子や職員との会話内容の記録等を準備しておくとよいですね。

以上

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