【家業従事型 寄与分のこと】

 

私は、経営の芳しくない父の事業を懸命に手伝ってきました。

新たな取引先を開拓し、時代に合う商品に改良するなどし、父の事業は持ち直し、経営は安定しました。銀行からの借金も無事に返済することができました。

その後、父が倒れそのまま亡くなりました。安心したのかもしれません。

私は、自分の貢献で家業を立て直したと自負しています。

父の相続の際、寄与分の主張ができるのでしょうか?

 

家業に従事するなど労務を提供した場合も、寄与行為が認められる類型の一つです。寄与分が認められるための要件は、

①被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の寄与であること、ここでいう寄与とは、『特別の貢献』であって、

・無償性(完全には無償でなくとも、一般の労務報酬に比べて著しく少額であるるなど)

・継続性(一定以上の期間に及んでいること)、

・専従性(他の業務に従事しているからといって否定はされないが、かなりの負担を要する労務内容であったこと)等の事情を検討していきます。

そして、

②寄与行為の結果として(因果関係があって)被相続人の財産を維持または増加させていること、

と評価できれば、寄与分の主張をしていくことができます。

 

寄与分がどの程度の金額として評価されるのか、その評価方法については、家業と同種同規模の事業に従事する同年齢の者の年間給与額を基準にするなど、一応の算定方式があります。

 

問題が家裁に持ち込まれた時、相続人らに納得してもらう必要がありますから、裁判所に裁量的な部分もありますが、一応の根拠となる計算式があるようです。

以上