【遺留分の放棄】

 

日頃から仲の悪かった兄弟3人が父の不動産を相続し、母が2分の1、それぞれの兄弟が6分の1の共有名義の土地、建物となっていたところ、下の弟2人が不動産の分割を希望しました。

不動産を売却し、その売却代金を、兄弟それぞれの固有の持分と、それに母の持分に関する遺留分割合(1/2×1/2×1/3)を加算して合計12分の3の割合で分けることで話がまとまりました。

ただ、将来起こり得る母の相続が開始した場合に関し、弟2人の遺留分の放棄が条件となりました。

 

ここで、相続開始前の遺留分放棄についての説明です。

遺留分放棄の許可の審判は、放棄をしようとする本人が家庭裁判所に対して申立てを行いますが、家庭裁判所では、概ね以下の基準から、それぞれの事情を考慮して許否の判断がなされているようです。

① 放棄が本人の自由意思によるものか

② 放棄の理由に合理性と必要性があるか

③ 代償性があるかどうか

 

上の例では、長男が高齢の母親と同居し、今後も生活の面倒を看ていくことや、不動産に関する遺留分部分は現金で取得することなどの事情があったためか、遺留分放棄は許可の判断がなされました。以上