【遺言の撤回のこと】 

 

自分が亡くなるまで、長男に面倒を見てもらいたいと、不動産全部を長男に相続させることにし、遺言書を作成しようと考えているお母さん。

でも、全部もらったものと長男が安心して、丁寧な世話はしてくれなくなるかもと不安もありました。

お母さんの気持ちに沿うような方法はどんなものでしょうか?

 

遺言は、遺言者の最終の意思を表現し尊重するものです。

ですから、遺言作成後の状況の変化に応じて、訂正や撤回がいつでも自由にできます。訂正や撤回も、遺言の方式に従ってする必要がありますし、これらも法律行為ですから、その時点で遺言者の意思能力に問題がないことが前提です。

 

また、停止条件付きの遺言にする方法もありますが、この例ですと、具体的に希望するお世話の中身を書いておかないと、お母さんが亡くなってから、条件が成就したのか、ちゃんとした世話をしなかったじゃあないの!などと、他の相続人との間で、争いを残すことにもなり兼ねません。

そうすると、いつでも遺言書は書き換えられることを説明して遺言書を残しておくとか、長男に「最後までよろしく頼みますね。」と、自分の希望を伝えておかれるのが穏当な方法かもしれませんね。以上