【コラム~家督相続・胎児の相続権】

 『家督相続』という言葉を最近、耳にしました。家督を継ぐから全てを相続することになっていると。改めて「家督って」とネットでみました。

「家父長制における家長権を意味する。鎌倉時代に家督の嫡子単独相続、遺産の分割相続が原則とされた。室町時代に両者とも嫡子相続を原則としたが、現実には完全な制度として確立しておらず、内紛が発生したのち江戸幕府の絶対的な権力を背景として、家督の嫡子単独相続が確立した。」とウィキペディアにありました。

 相続に関しては、ミステリーとか小説とか、争族のネタとして使われます。

一番に思いつくのは「犬神家の一族」、長女は、家督相続を当然とし、その長男(孫)の復員を待っていたところ、別人が成りすまし登場します。しかし、遺言によれば恩人の孫娘(タマエさん)に、孫の誰かとの結婚を条件に全て相続させるとあり、または、成りすまし別人の正体が判明し、孫の倍の割合で相続させるとあったりで、諸々殺人事件が起こります。(現在は遺留分の制度がありますが。)

いくつも殺人事件があり、おどろおどろしい小説でしたが、作者横溝正史の長男は、音楽ジャーナリズムを大学で教え、おしゃれな感じの先生でした。

また、「女系家族」という小説(山崎豊子氏作)があります。

胎児は生まれてくることを条件にして相続権があります。この胎児に相続権があること、だから胎児認知もあり、生まれる前に父親は認知届が出せること、遺言は遺言者の最終の意思を尊重するものだから、作成日付の新しいものが有効であること等の法的要素を駆使して、女系たちに一矢報いようとした話でした。幸い、胎児は男の子でした。

いずれにせよ、どちらの物語も、意識としては男性が後を継ぐのが前提というのが通奏低音のように流れているようです。