【遺産分割調停が不成立のときは審判へ】 

祖母が亡くなりました。祖母は、叔父と長年同居していました。

相続人は、叔父と孫の私です。

祖母名義の建物の敷地部分は、私の父所有で、祖母に無償で貸していたものです。私としては、叔父に退去してもらいたいのですが、合意に至らず、家裁の調停でも話がまとまりません。

このように調停でも成立しない場合には、どうなるのでしょうか?

 

調停が成立しない場合でも、裁判所の手続きは終了とならず、自動的に審判手続きが開始されます。調停の申立てという行為に、審判の申立て行為が含まれていると扱われるためです。

話がまとまらないから、解決を裁判所にお願したわけですからね。

 

審判では、調停の中でこれまで提出された資料や審判に移行してから提出された資料を下に、裁判官(家事審判官)が結論を出します。どの遺産を誰にどのように分けるかの判断です。

この審判に対して不服があれば、即時抗告もできます。

もっとも、審判に移行してからも裁判官は、話し合いができないか道を探ります。

そして、再度、調停に付されることも多いです。

なお、この時の裁判官は、資料を見た上で、「審判になったら、結論はこうなるのではないか。」などと心証を開示しながら、話し合いを促していきます。

最初の調停での話し合いとはちょっと違いますね。

以上

 

【遺産分割の調停のこと】  

父の四十九日法要も終わり、相続のことを考えています。

相続人は、長女の私、次女、それに長男です。母は既に亡くなっています。

それぞれにきょうだい仲が悪く、遺産分けの話の出来る関係ではありません。

配偶者の影響なのか、それぞれが結婚してから仲が悪くなったような気がします。

裁判所での話し合いを考えていますが、調停とはどのような手続でしょうか。

 

裁判官と調停委員2人(民間人)が調停委員会を構成し、主に、調停委員が順次当事者の話を聞いて、争点を整理し、話し合いを進めていきます。

当事者は、申立人と相手方に分かれます。

家庭裁判所からの事前の照会書で、対立の有無やその対立点の内容、あるいはその予想などを聞かれます。

相手方(申し立てた相続人以外の相続人ら)の中でも、主張や感情的な対立があれば、グループに分けて話を別々に聞いてくれます。

 

調停は基本的に話し合いです。

期日においては、相続人の確定→遺産の範囲、確定→各遺産の価額の評価→それぞれの相続分→分割方法などの場面に沿って、ひとつずつを確認しながら進んでいきます。

東京家裁では、待合室に上記の手続きの進行についてのビデオが流されていますので、手続きの概略を知ることができますよ。

以上

【遺言書の内容と異なる遺産分割】

 

生前、父は、「賃貸に出している駅前のビルは、(私に)あげるから」とよく言っていましたが、父の遺言書の内容は、これと違いました。

遺言書には、失業した兄のために、この駅前のビルの4分の3を兄、私に4分の1を相続させるとありました。

遺産は他に、預貯金などの金融資産や両親の住む自宅不動産があります。相続人は、母と兄、私の3人です。

私が駅前のビルを相続することは、父の意思に反するので、できないのでしょうか、遺言内容に従わない分割協議は違法ですか?

 

遺言内容と異なる遺産分割協議も可能です。

ただし、①遺言で遺産分割が禁止されていない。②遺言執行者が定められていないか、あるいは、遺言執行者が同意する。③相続人全員の合意がある。

場合には、裁判例によっても、遺言と異なる内容の遺産分割協議が認められているところです。

 

裁判例(さいたま地裁H14年2月7日判決)では、相続人の意思が一致するなら、遺産を承継する当事者たる相続人間の意思を尊重することが妥当であるということです。

また、法的には、一旦は遺言内容に沿った遺産の帰属が決まるが、合意による遺産分割は、相続人間における当該遺産の贈与や交換を含む混合契約と解することが可能であるし、その効果についても通常の遺産分割と同様の取り扱いを認めることが実態に即して簡明である。と。

 

ただし、遺言の存在を相続人全員が知った上で、協議を成立させることが重要です。せっかく、協議が成立しても、後々、錯誤無効などと意思表示の無効を主張されて協議が無効になる可能性もあります。

そうすると、結局は、遺言の内容通りにということになり兼ねません。

 

お兄さんは遺言の内容を知っていたのでしょうか。。。

以上