【相続人の範囲 死後認知のこと】 

夫が急逝しました。遺言はありません。

子供たちと相続の話合いをしようと考えていたところに、弁護士さんから連絡があり、夫に隠し子がいたようで、現在、認知の手続きをしているところだと言います。

そうすると、子供たちと遺産分けの話を進めることはできないのでしょうか?

 

認知が認められると、親子関係が形成((非嫡出子となります)されますので、相続人の数が増えるということになります。

相続人が漏れていると、分割協議は無効となります。

 

しかし、本件のような弁護士からの連絡等が入らない場合、まだ認知の訴えが提起されていない場合など、親子関係が戸籍に記載されてない段階では、戸籍に記載のない相続人の存在など知りようがありません。

そうすると、遺産分けまで進んでいきますよね。

このような場合は、実際の分割や遺産の処分が終了した後、相続分相当価額での請求を受けることもあります(民法第910条)。

死後認知は相続することを目的の一つにしていますので、だいたい上記のような請求があるのでしょう。

 

ちなみに、死後認知は、検察官を被告とし、子の法定代理人である母親が原告となって認知の訴えを起こします。

DNA鑑定書の提出や証人尋問等の手続きを経て、親子関係が認められると、判決書を持って役所に行き、親子関係を戸籍に反映させることができます。

非嫡出子の相続分については民法の改正がありましたね。

以上

 

 

 

【相続人に行方不明者がいる場合】

 

先日、父が亡くなりました。相続人は、私と妹、それに弟の3人です。

しかし、母が亡くなって数年来、弟とは音信不通です。現在、生きているのか、どこに住んでいるのかもわかりません。

どのように相続の手続きを進めたらいいのでしょうか?

 

まず現住所を探します。戸籍を追っていくと、現在の本籍地が分かりますので、戸籍の附票を取り、その者の現在の住所を確認できます。

連絡が取れれば、協議を進められますね。

 

連絡がつかず、既にその住所地を離れている場合、居所も分からない場合には、家裁に不在者財産管理人選任の申し立てをします。選任された不在者財産管理人が行方不明者に代わって、分割協議に参加することができます。

 

もし、7年以上、行方不明の状態が続き、生きているか分からない場合には、失踪宣告という制度で対処します。

家裁に申し立てをし、行方不明になった時から7年後に亡くなったものとみなしてもらうこともできます(普通失踪)。

 

弟さんに子供がいれば、その子が相続人となります(代襲相続)ので、分割協議に参加してもらう必要があります。

また、行方不明の時期によっては、お父さんが亡くなった後に弟の死亡が擬制されたとなると、弟の子や配偶者も、父を相続した弟をさらに相続することになります。この場合も、その弟の配偶者や子に分割協議に参加してもらう必要があります。

協議は、その相続人らが相続放棄などをせず、相続する場合です。

 

なお、「みなされる」とは、死亡が擬制されるということですが、これは、従来の住所を中心とした法律関係を終了させるだけで、失踪者が他所で活動する場合の権利能力や行為能力まで奪う効果まではありません。

 

時々、ミステリーなどで、この制度が使われますね。以上