【建物の無償使用は特別受益?】

 

父が亡くなり、遺産分割の話となり、私は、理解できません。
母は既に亡くなっており、相続人は、長男と長女とそれに次女の私です。
父は、母が亡くなった後、長男に近くに住んでほしいと強く頼んだそうです。
長男夫婦は、父の自宅近くにある父名義の建物に住んでいました。もちろん無償です。

一方、長女は、夫の仕事が長続きせず、収入が不安定。心配した父は、自宅からは少し離れた父名義の賃貸アパートの一室を長女家族に無償で使用させてきました。

次女である私は、住宅ローンで家を持ち、独立した生活をしてきました。
父の遺産分割に当たり、私としては、兄や姉は住宅費用が掛からなかったので、得をしていると感じます。兄や姉の住居費分はいわゆる「特別受益」にあたらないのでしょうか?

たしかに、父の建物に無償で居住してきたという場合、賃料相当額の特別受益の問題が生じますね。そうすると、結構、大きな金額になりそうです。
しかし、建物の使用借権を、一般論として客観的に考えてみると、土地の使用借権と違って、第三者に対する対抗力がなく、建物の名義人が変わったら無償で住んでいた住人は退去せざるを得ないという意味で明け渡しも容易であることからするなら、経済的価値がないに等しいと評価できます。

仮に特別受益になるとしても恩恵的要素が強く、持ち戻し免除の意思表示があると考えられています。

もっとも、収益物件で本来賃貸しているものを相続人に居住させたという場合には、賃料相当額が特別受益になり得ることも考えられます。長女がそうですね。

しかし、特別受益になるとしても、長女家族に賃貸アパートを使用させるに至った経緯から察するに、やはり、父の黙示の持ち戻し免除の意思表示が認められると思います。

なんだか不公平ですが。。。

長女家族の生活が経済的にも安定してきた時点以降は、父の意思は、賃料を収受するつもりだったかも知れませんね。 以上

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【兄の賃料を支払った。。。相続放棄できなくなる?!】

 

小さな会社を経営していた兄が亡くなりました。

かなりの負債を抱えていたようです。兄は、半年ほど家賃を滞納していました。

家主からの請求で、私がその家賃を支払いました。

相続人は、長男である甥です。兄は離婚をしており、甥っ子は母親に養育されています。甥っ子が相続放棄をすると、両親もすでに亡くなっていますから、妹である私が相続人になります。

私も相続放棄をしようと思いますが、家賃を支払ってしまうと、もう放棄できなくなると聞きました。

また、兄は、甥や私を受取人とする生命保険に入っていました。この保険金を受け取ると相続放棄できないのでしょうか?

確かに、兄の生前の滞納家賃は相続債務です。これを支払うと、「相続財産の全部または一部を処分した」(民法第921条1号)として法定単純承認に当たり、相続を承認したとみなされ、相続放棄できません。

しかし、妹が兄の賃貸借契約の連帯保証人になっていたような場合であれば、自己固有の債務を支払ったにすぎませんので、承認にはあたらず、相続放棄は可能です。

また、生命保険金も受取人固有の財産であって、相続財産ではありませんので、これを受け取っても、放棄は可能です。

被相続人の財産で葬儀費用を支払うと相続放棄できませんか?との質問がよくありますが、被相続人に分相応な金額であれば、承認には当たらないとの裁判例があるようです.

また、会社の債務と兄個人の債務とは法的には別のものですから、区別して考えておくことが必要です。  以上

【母に父の遺産を全部渡したい。】

 

好き勝手なことを繰り返してきた父でしたが、先日、事故で亡くなりました。

相続人は、母、兄と長女の私です。遺産は、自宅不動産と預金。

子供のためを考えてでしょうか、母は離婚せず、明るい雰囲気の家庭を作ってくれていました。精神的には苦しかったのではないかと思います。

兄と私は、母に父の遺産のすべてを相続させたいと考えています。

私と兄が、相続放棄の手続きをすれば、母に全部の遺産がいくのでしょうか?

相続開始の時から3か月以内にしなければならないと聞きました。あまり時間がないのですが。。。

 

 

相続人の種類には、血族相続人の系統と配偶者相続人との2つの系統があります。

血族相続人には、第1順位:子、直系卑属。第2順位:直系尊属。第3順位:兄弟姉妹。一方、配偶者は常に相続人となります。

相続放棄は、相続開始時から相続人にならなかったものとして扱われますので、長女や兄が相続放棄をすると、母だけが相続人になるのではなく、上記のとおり、まず父の両親、両親がすでに亡くなっていれば、次に父の兄弟姉妹が相続人になっていきます。

場合によっては、父のおいやめい(長女や兄のいとこ)までが相続人となってしまいます。

母だけに相続させるために相続放棄をしてしまうと、第2順位あるいは第3順位の相続人の意思に左右され、結果として、母には法定相続分だけしか残せなかったということになりかねません。

相続を放棄するとしても、取得ゼロの分割協議書を作成するとよいでしょう。

この場合の長女や兄は、あくまで相続人であるという前提です。

相続放棄という手続きをとることとは異なります。

 

母の負担する相続税のことが気になりますが、母には配偶者の税額軽減もありましたね。

我慢してよかったのかな。。。

以上

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