【遺言の執行~不動産登記の場合】

父が亡くなり、その相続人は長男と次男の2人です。遺産には預貯金と自宅不動産があり、「遺産の全てを長男に相続させる」旨の遺言がありました。

長男が遺言に基づき不動産の移転登記をする前に、次男に金を貸していた債権者が次男に代わって相続登記を行い(債権者代位権)、次男の持分2分の1を差し押えました。

登記未了の長男は先に登記を得た債権者に対し、所有権を主張して登記の抹消を請求できるでしょうか。

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【遺産分割協議成立の後に新たに発見された遺産】

 平成30年相続法改正において、遺産分割申立ての段階で、遺産の一部を残余の遺産から分離して申立できるとされました(民法907条1項・2項 )。共同相続人は、遺産についての処分権限があるからです。

共同相続人間で認識されている残余財産が存在するものの、現時点では分割を望まない場合等です。

 もっとも、この場合には、分割協議書や調停調書に、①一部分割であること、②一部分割が残余財産の分割に影響があるか否かを明確にすることが重要とされています。

残余財産が認識されていれば、全体としてどのように分割にするのか、予定してくことができます。

それでは、先行の分割の際には認識していなかった相続財産が新たに発見された場合はどうでしょうか。仮に先行協議での不均衡が生じていた場合、これを修正し、遺産全体につき法定相続分に沿う分割をすべきかです。

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【遺言に記載のない遺産の分割】

 先日亡くなった母の遺言には、「自宅不動産は長男に相続させる」旨が記載されていましたが、預貯金については記載がありません。

父は早くに亡くなっており、相続人は、長男の兄、長女の姉と次女の私の子供3人です。

預貯金については、姉と私で分ければいいのでしょうか。それとも兄にも分割しなければなりませんか。不動産の査定は3000万円、預貯金は3000万円です。

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