【二次相続と相続登記~ひとりで遺産分割】

二次相続が発生して初めて遺産分割協議をし、相続登記の申請をするということがあります。例えば、父が亡くなり、10年以上経過して母が亡くなり、その段階で初めて、子ら相続人間で協議をし、父名義不動産の相続登記を申請するといった場合です。 

この場合、実体的には亡母も一旦不動産を法定相続しているはずで、その旨登記に反映させることが原則ですが、子らの遺産分割協議書を登記原因証書として、父名義から取得者への直接の登記、いわゆる中間省略登記が可能です。

本件の中間省略登記が可能とする理屈は、母の父を相続し遺産分割協議に参加する権利自体を子らが相続しており、母の立場でも協議に参加した結果(母も参加した扱い)成立した協議であって、そのことを子らの遺産分割協議書で形式的に審査できるということでしょう。

では、子が一人の場合、ひとりで遺産分割(協議)はできるでしょうか。

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【相続欠格】

誰が相続人であるかは、遺産分割協議の出発点です。

相続人となる一般的資格が民法で認められている者であっても、必ず相続人になれるというものではありません。相続欠格は、一定の要件(欠格事由)がある場合、法律上当然に、相続人から除外される制度です(民法891条)。

被相続人の意思にかからせるものではなく、重大な事由に限定されています。相続秩序を侵害する非行をした相続人に対する制裁の意味合いです。

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【相続人の廃除制度~夫婦の場合~その2】  

夫婦の場合、離婚すれば配偶者は推定相続人ではなくなります。そうすると、財産を残したくない場合、離婚すればいいのでは?

しかし、離婚したい気持ちはあるものの、相手から離婚を請求されたら、争いたくなる気持ちにもなります。背景事情はいろいろあると思います。

大阪高裁令和2年2月27日決定(遺言による廃除の事例)は、夫からの離婚請求を争っていたのと同時期に、遺言で夫の相続人廃除をいう場合の事例です。

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