【兄の賃料を支払った。。。相続放棄できなくなる?!】

 

小さな会社を経営していた兄が亡くなりました。

かなりの負債を抱えていたようです。兄は、半年ほど家賃を滞納していました。

家主からの請求で、私がその家賃を支払いました。

相続人は、長男である甥です。兄は離婚をしており、甥っ子は母親に養育されています。甥っ子が相続放棄をすると、両親もすでに亡くなっていますから、妹である私が相続人になります。

私も相続放棄をしようと思いますが、家賃を支払ってしまうと、もう放棄できなくなると聞きました。

また、兄は、甥や私を受取人とする生命保険に入っていました。この保険金を受け取ると相続放棄できないのでしょうか?

確かに、兄の生前の滞納家賃は相続債務です。これを支払うと、「相続財産の全部または一部を処分した」(民法第921条1号)として法定単純承認に当たり、相続を承認したとみなされ、相続放棄できません。

しかし、妹が兄の賃貸借契約の連帯保証人になっていたような場合であれば、自己固有の債務を支払ったにすぎませんので、承認にはあたらず、相続放棄は可能です。

また、生命保険金も受取人固有の財産であって、相続財産ではありませんので、これを受け取っても、放棄は可能です。

被相続人の財産で葬儀費用を支払うと相続放棄できませんか?との質問がよくありますが、被相続人に分相応な金額であれば、承認には当たらないとの裁判例があるようです.

また、会社の債務と兄個人の債務とは法的には別のものですから、区別して考えておくことが必要です。  以上