【相続関連訴訟のこと】 

祖父の相続に関し、相続人間の話し合いでは、種々の点で言い分が対立し、調停を申し立てました。

調停でも、お互い譲らずの状態が続いたところ、調停員から、「地裁の方で解決してから家裁に来てください。」と、調停申立てを取り下げるように促されました。

どういう意味なのでしょうか?

遺産分割調停では、以下の5つの場面に分けて話が進められます。

≪相続人の範囲→遺産の範囲→遺産の評価→具体的相続分の確定→分割方法≫

この場面の中で、家裁の調停では最終的に解決できない事柄があります。

①相続人の範囲について、例えば、養子縁組の効力に関し争いがあれば、養子縁組無効確認の訴訟、婚姻の無効や離婚の無効を争うときも、確認訴訟(人事訴訟といって家裁の管轄ですが、調停でいう家裁とは異なります。)で解決します。

また調停の前に、死後認知の訴え等をして、親子関係を形成する場合もあります。

②遺産の範囲について、預貯金の存否、預貯金や現金の金額、不動産が誰の帰属かなどに関し争いがある場合には、遺産確認訴訟を地裁に提起して解決します。

例えば、名義預金であった場合、不動産につき一部の相続人が自分の所有権を主張する場合などです。

③よく相談を受けるのは、『もっと、遺産があったはずだ、預金が使い込まれている、隠しているのではないか。』というものです。

隠したままで自白してくれないとなると、不当利得返還請求あるいは損害賠償請求の訴訟を提起しての解決になります。

なお、判決で、不当利得ではなく生前贈与が認定された場合、調停に戻って、「特別受益」として扱われます。(持ち戻し免除という他の点が問題になり得ますが)

④また、相続分に関連して、遺言の有効性について調停で合意できない場合、遺言無効確認訴訟を提起するなどです。

話し合いがこじれると、調停手続き一本では解決しないこともありますね。

以上