【賃貸不動産を管理  寄与分】

 

私は長年、両親と同居してきました。自宅の敷地内には、賃貸不動産として共同住宅があり、父はこの家賃の上りで、不動産のローンを返済していたようです。

父が亡くなり、相続人は、長男である私、他県に嫁いだ長女と次女の三人です。

私は、父の入院中、父に代わってその共同住宅の管理をしてきました。

私は法定相続分以上の取り分を主張できるのでしょうか?

 

被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合、相続分が多くなる『寄与』」という制度(民法904条)があります。

寄与行為はいくつか類型化されて考えられています。

①家業従事型、②金銭等出資型、③療養看護型、④扶養型、⑤財産管理型などです。

本件は、⑤のケースで、不動産の賃貸管理など、被相続人の財産を管理したことに因って相続財産の維持形成に寄与した場合に該当するか否かです。

いくつかの事情を確認していく必要があります。

①財産の状況(管理の必要性の有無)、②必要であった具体的管理の内容、③管理を行うに至った事情、④管理をした時期及び期間、⑤実際に行った管理の内容、⑥報酬の有無、⑦管理によって財産の維持、増加に役立ったか、⑧被相続人の所有財産(特に不動産)の無償利用の有無などです。

これらの事情から、①被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の寄与であること、②寄与行為の結果として被相続人の財産を維持または増加させていることと評価できれば、寄与分の主張をしていくことができます。

 

なお、寄与分の算定に当たって、寄与相続人が、相続財産管理のために、被相続人所有の不動産を無償で利用しているなどの場合、その使用利益(賃料相当額)の控除なども考慮要素になります。

以上