【相続財産の範囲~死亡退職金】

 長年、事実上の夫婦として過ごしてきた夫が亡くなり、住んでいる土地・建物を内縁の妻に遺贈する旨の公正証書遺言がありました。

 一方、夫には、法定相続人として2人の子供がおり、以前夫が残してきた小さな土地は、長男に遺贈するとの自筆の遺言がありました。長女には何もありません。

 先日、相続人である子供たちから、遺留分減殺請求の内容証明が内縁の妻のもとへ届きました。

 会社からの死亡退職金は受け取れるのでしょうか?また、この死亡退職金も減殺の対象になるのでしょうか?

 内縁の妻には、相続権はありません。

 しかし、死亡退職金は、遺族の生活保障の意味合いもあり、会社の就業規則には、死亡退職金の受給権者を「配偶者(内縁の者も含む)」と規定されている場合もあります。

 死亡当時、その者の収入に依拠して生活を維持していた者の生活保障の意味合いです。

 内縁の妻であっても、受給できる可能性があります。

 その場合、死亡退職金は相続財産ではありませんので、遺留分減殺請求の対象にはなりません。

 内縁に妻に遺贈された不動産が減殺の対象になり得るだけです。