【相続財産管理人制度~相続人不存在の場合】

実家の空き家を相続するか放棄するか検討中です。その他の遺産は少額の預金しかありません。相続放棄をしても、相続財産管理人を選任するまでは管理の責任があると聞きました。相続財産管理人とはどのような制度ですか。

戸籍上相続人がなく調査しても相続人や財産を受ける権利のある者がない場合、あるいは相続権のある者が皆、相続放棄をして相続人不存在となった場合、このような場合に財産の清算手続を行う者が相続財産管理人です。

上記の場合に必ず相続財産管理人の選任が行われるというものではありません。この制度の目的は財産の清算ですから、資産がない場合、債務ばかりの場合は、利害関係人も何もしないことが多いようです。これに対して、相当の資産のある場合は、相続財産管理人を選任する意味があります。

選任申立のできる利害関係人とは、被相続人の債権者、受遺者、特別縁故者、相続放棄した元相続人などです。

 費用に関してですが、相続財産の内容から、相続財産管理人が相続財産を管理するために必要な費用(相続財産管理人に対する報酬を含みます)に不足が出る可能性がある場合には、家庭裁判所は申立人に相当額を予納金として納付することが求められます。30万円~数百万円になる場合もあるようです。

制度の概要ですが、①家庭裁判所は、相続財産管理人選任の審判をしたとき、相続財産管理人が選任の公告をします。②公告から2か月が経過してから、財産管理人は、相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告をします。③この公告から2か月が経過してから、財産管理人の申立てで、相続人を捜すため6か月以上の期間を定めて公告をします。④期間満了までに相続人が現れなければ、相続人の不存在が法的に確定します。

必要があれば、財産管理人は家庭裁判所の許可を得て、被相続人の不動産や株を売却し、金銭に換えることもできます。また、各債権者に対し相続資産を債権額の割合で按分して相続資産の範囲内でのみ弁済を行い、特別縁故者に対する財産分与の審判にしたがって相続財産を分与するための手続をします。

相続財産が残った場合、相続財産を国庫に引き継いで手続が終了します。

かなり時間のかかる手続きで、相続財産の内容によっては費用もかかります。