【特別受益 生計の資本としての贈与】

母が亡くなり、相続人は長男である私と妹の2人です。母名義の口座履歴を取り寄せたところ、母は生前、離婚した妹へ、毎月送金していたようです。

遺言はないので、妹と法定相続分で分割したいとは考えていますが、妹ばかり可愛がられてと、不公平感も持っています。

特別受益に当たるものとして、「生計の資本としての贈与」がありますが、これは、生計の基礎として役立つような財産上の給付をいいます。

居住用不動産の贈与やその取得のための頭金の援助などであれば、わかりやすいのですが、本件のように毎月決まって送金していたような場合、生計の資本としての贈与になるかは、親族間の扶養義務の範囲を超えているのかという視点から評価されます。

裁判所の判断として、月10万円を超える送金部分を特別受益と認めた審判例があります。(東京家審平成21年)

そうすると、例えば、母親から妹へ毎月13万円の送金をしていたという場合、月3万円×月数の合計金額が特別受益に当たる可能性があります。

もっとも、上記の審判例は、遺産総額、被相続人の当時の収入や相続人の収入なども考慮してなされた月10万円を超える部分という基準ですので、事案によっては、10万円という基準が必ずしも妥当するものでもないと思います。