【相続人の廃除制度~夫婦の場合~その2】  

夫婦の場合、離婚すれば配偶者は推定相続人ではなくなります。そうすると、財産を残したくない場合、離婚すればいいのでは?

しかし、離婚したい気持ちはあるものの、相手から離婚を請求されたら、争いたくなる気持ちにもなります。背景事情はいろいろあると思います。

大阪高裁令和2年2月27日決定(遺言による廃除の事例)は、夫からの離婚請求を争っていたのと同時期に、遺言で夫の相続人廃除をいう場合の事例です。

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【相続人の廃除制度~夫婦の場合】

離婚が成立すれば、配偶者は推定相続人ではなくなります。

ですので、夫婦関係にある推定相続人の場合には、離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)と同程度の非行が必要であると解されています。

財産を残したくない、というとまずは離婚を考えます。しかし、諸々の事情でまだ離婚はできないということもあります。

以下は、最高裁令和3年3月25日判決(中小企業退職金共済法第14条1項1号の配偶者の争点)の中で、事実上の離婚状態にある妻の夫に対する推定相続人を廃除する危急時遺言に基づき、家裁が廃除の審判をしたことが認定されたものです。

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【相続人廃除の制度~親子の場合】

 高齢になった一人暮らしの親を、子(推定相続人の一人)が自分の近隣のアパートに住まわせ、その預貯金を整理・管理すると言って、通帳を預けさせていたところ、ATMで頻繁に出金され、合計で数千万円に上っていたことが判明した。

その親御さんは、そのままにしてきた自宅不動産に戻り、不正に引き出された預金の取戻しを考えていました。訴訟まではどうも気持ちが進まない様子。そこで、まず、相続人廃除の制度を説明しました。

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